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アニメンタリー決断大事典

加賀

日本海軍航空母艦。
艦名の由来は旧加賀国(石川県南部)からつけられた。
加賀は八八艦隊計画の加賀型戦艦の1番艦として計画され、1920年7月19日に神戸川崎造船所で起工されたが、翌年のワシントン条約の締結で、加賀は廃棄されることが決定した。しかし、赤城とともに空母へ改造される予定であった天城が、1923年の関東大震災によって船台上で大破したため、代艦として加賀が空母に改造されることになった。1923年12月13日に空母への改造工事に着手し、1928年3月31日に竣工した。
三段式飛行甲板、主砲の配置方法などは赤城とほぼ同様であったが、もともとが戦艦のため、艦の長さが短く、速力も低いので、空母としての機能は赤城より劣っていた。

飛行甲板・格納庫

加賀は赤城と同様の三段式飛行甲板を備えた。艦の長さが短いため、上段の飛行甲板の長さは171mとなったが、それ以外は赤城と同様に中段は15m、下段は55mだった。
格納庫も赤城と同様の三層からなり、昇降機の数も、搭載機数と機種も赤城と同様であった。

煙突

重油専焼缶12基の煙路を両舷に半分ずつ分け、艦の中央部で飛行甲板直下に導き、そこから艦尾まで長々と導く煙突が設けられた。開口部を斜め外側下方に向けて、排煙が航空機の着艦に影響せぬよう考慮して採用された煙突装備方法であったが、艦の速力が低いため、排煙が艦尾の気流を乱して着艦の障害となるばかりか、煙路付近の居住区は熱気による高温のため、居住に耐えられないほどであった。しかも、煙突関係の重量と容積はかなり大きく、この煙突装備方法は大失敗だった。

砲熕兵装

主砲
加賀は敵巡洋艦との交戦を想定して20cm砲10門を装備した。
前部中段甲板、羅針艦橋直前の両舷に連装砲塔を1基ずつ、艦尾よりの中甲板両舷にケースメイト式の単装砲を3基ずつと、赤城と同様の装備方法であったが、艦尾中甲板両舷には別に3基ずつの砲座が設けられ、有事の際には20cm単装砲を装備できるようになっていた。

高角砲
対空兵装として12cm連装高角砲6基を装備した。装備位置は赤城と同様で、やはり反対舷への射撃ができなかった。

大改装

加賀は竣工後に明らかとなった不適当なところ、特に三段式の飛行甲板と煙突の誘導方法を改めるため、1934年6月25日から佐世保工廠で大改装工事に着手し、1935年6月に完成した。

飛行甲板の全通化
三段式飛行甲板を廃し、艦首から艦尾にかけての全通一段式に改め、将来の艦上機の性能向上にも対応できるようにした。

格納庫の拡大
上部と中部の格納庫を拡大するため、中段と下段の飛行甲板と20cm連装砲塔を撤去し、羅針艦橋を飛行甲板右舷前部に設けられた艦橋構造物に移設した。
搭載機数は格納庫の拡大で常用72機+補用18機となり、九〇式艦戦12機+3機、九四式艦爆24機+6機、八九式艦攻36機+9機を搭載した。
昇降機は2基から3基となり、従来の前部昇降機の前方に昇降機が増設された。

艦橋の塔型化
艦橋は塔型に改め、飛行甲板の右舷前部に新設された。この艦橋配置方法は蒼龍、翔鶴型、雲龍型にも採用された。

煙突の湾曲化
大失敗だった艦尾まで達した長大な煙突を改め、斜め下向き湾曲煙突を右舷中央部に設置した。この改正により煙突関係の重量が約100t軽減された。

速力の増加と航続力の延伸
主機の半数と缶の全てを新式のものに換装し、機関出力は91,000馬力から127,400馬力に増大した。艦尾も延長され、より推進抵抗の少ない船型に改めたことで、速力は27.5ノットから28.3ノットに向上し、航続力も14ノットで8,000海里から16ノットで10,000海里に延伸された。

砲熕兵装の改正
高角砲は新式の40口径八九式12.7cm連装高角砲に換装され、基数も6基から8基に増強された。装備位置も従来より高められ、反対舷への射撃が可能となった。さらに九六式25mm連装機銃11基が搭載され、対空兵装は大幅に強化された。
20cm砲は前部中段甲板の2基の連装砲塔を撤去して、代わりにケースメイト式の単装砲を艦尾中甲板両舷に2基ずつ装備した。

大改装の結果、近代的な空母として艦容が一新された加賀は、機動部隊の主力として活躍し、開戦初期の作戦に寄与した。

要目
新造時排水量公称 26,900t
実際 29,500t
全長238.5m
全幅29.6m
出力91,000馬力
速力27.5ノット
航続力14ノットで8,000海里
兵装50口径三年式一号20cm連装砲2基
50口径三年式一号20cm単装砲6基
45口径三年式12cm連装高角砲6基
搭載機常用48機+補用12機
飛行甲板長さ171.3m×幅30.48m(上段)
開戦時排水量38,200t
全長248.6m
全幅32.5m
出力127,400馬力
速力28.3ノット
航続力16ノットで10,000海里
兵装50口径三年式一号20cm単装砲10基
40口径八九式12.7cm連装高角砲8基
九六式25mm連装機銃11基
搭載機常用72機、補用18機
飛行甲板長さ248.6m×幅30.5m
戦艦計画時排水量39,900t
全長231m
全幅32m
出力91,000馬力
速力26ノット
航続力14ノットで8,200海里
兵装45口径三年式40cm連装砲5基
50口径三年式14cm単装砲20基
40口径三年式8cm単装高角砲4基
61cm魚雷発射管8門

搭載機定数(常用機)
1941年12月~艦戦×18、艦爆×18、艦攻×27
1942年1月~艦戦×21、艦爆×21、艦攻×21
1942年4月~艦戦×21、艦爆×21、艦攻×30

艦歴
1920年7月19日戦艦として神戸川崎造船所で起工
1923年12月13日空母への改造に着手
1928年3月31日竣工
1934年6月25日大改装に着手
1935年6月大改装完了
1941年4月10日第1航空艦隊第1航空戦隊に編入
1941年12月8日機動部隊に所属してハワイ作戦に参加
1942年1月20日~22日機動部隊に所属してラバウル・カビエン攻略支援に参加
1942年2月9日パラオで艦底を触礁により損傷
1942年2月19日機動部隊に所属してポートダーウィン攻撃に参加
1942年3月機動部隊に所属してジャワ海掃討戦に参加
1942年6月第1機動部隊に所属してミッドウェー作戦に参加
1942年6月5日ミッドウェー海戦において米艦上機の爆撃を受けて沈没
岡田艦長以下約800名戦死
1942年8月10日除籍

歴代艦長
1941年9月15日~岡田次作大佐

飛行作業中の加賀

飛行作業中の加賀(1936年)

煙突から白煙が吹き出しているのは、熱煙で飛行甲板上の気流を乱さないよう海水を使用した冷却装置を作動中のため。

ハワイ作戦中の加賀

ハワイ作戦中の加賀(1941年12月)

ハワイを目指して荒天下の北太平洋を進撃する加賀。右後方の艦影は空母蒼龍。


関連用語: 第1航空艦隊第1航空戦隊機動部隊第1機動部隊赤城ワシントン海軍軍縮条約

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