対米英蘭戦争ニ伴フ帝国陸軍作戦計画
対米英蘭戦争ニ伴フ帝国陸軍作戦計画
第一章 南方作戦
第一節 作戦目的
- 第一款
- 南方作戦ノ目的ハ東亜ニ於ケル米国、英国及蘭国ノ主要ナル根拠ヲ覆滅シ南方ノ要域ヲ占領確保スルニ在リ
- 第二款
- 前款ニ依リ占領スヘキ範域ハ比律賓、瓦無島、香港、英領馬来、緬甸、「ビスマルク」諸島、爪哇、「スマトラ」、「ボルネオ」、「セレベス」、「チモール」島等トス
第二節 作戦方針
- 第三款
- 南方作戦ノ方針ハ陸海軍緊密ナル協同ノ下ニ比律賓及英領馬来ニ対スル先制急襲ヲ以テ同時ニ作戦ヲ開始シ勉メテ短期間ニ作戦目的ヲ完遂スルニ在リ
第三節 作戦指導要領
- 第四款
- 前款ニ基キ左ノ如ク作戦ヲ指導ス
- 一、
- 馬来ニ対スル先遣兵団ノ急襲上陸(状況ニ依リ先制空襲)並ニ比律賓等ニ対スル対米先制空襲ヲ以テ作戦ヲ開始シ航空作戦ノ成果ヲ利用シテ各攻略兵団ノ主力ヲ先ツ比律賓ニ次テ馬来ニ上陸セシメ速ニ比律賓及英領馬来ヲ攻略ス
別ニ作戦ノ初期瓦無島、香港及英領「ボルネオ」ノ要地ヲ占領シ又泰国及印度支那ノ安定ヲ確保ス
以上ノ間成ルヘク速ニ「ビスマルク」諸島、蘭領「ボルネオ」、「セレベス」ノ要地ヲ 次テ馬来作戦ノ進捗ニ伴ヒ南部「スマトラ」ノ要地ヲ占領シ爪哇ニ対スル作戦ヲ準備スルト共ニ資源地域ヲ確保ス
右ノ間又ハ其ノ後ニ於テ「モルッカ」群島及「チモール」島ノ要地ヲ占領ス
- 二、
- 前記要地ニ於ケル航空基地ノ整備ニ伴ヒ敵航空勢力ヲ制圧シテ爪哇ヲ攻略ス
又新嘉坡占領後適時北部「スマトラ」ノ要域ヲ占領ス
- 三、
- 前各項ノ作戦中米国主力艦隊ノ動静ニ応シ連合艦隊カ邀撃配備ニ転換スル場合及露国参戦等ノ場合ニ於テモ比律賓及馬来作戦ノ継続遂行ニ支障ナカラシム
前記ノ場合ニ於テモ為シ得ル限リ速ニ作戦目的ノ完遂ヲ図ル
- 四、
- 第一、第二項ノ作戦間機ヲ見テ南部緬甸ノ航空基地等ヲ奪取シ又作戦概ネ一段落後状況之ヲ許ス限リ緬甸処理ノ為ノ作戦ヲ行フ
- 五、
- 上陸作戦ハ敵ノ陸海空軍ノ攻撃ヲ排除シテ行フ敵前上陸ヲ予期ス
- 第五款
- 作戦準備間ノ泰国進入又ハ先制攻撃ヲ受ケタル場合ノ作戦ハ左記ニ依ル
- 一、
- 英軍我ニ先タチ南部泰ニ進入シタル場合ハ機ヲ失セス一部ヲ陸路及海路泰国ニ進入セシメ盤谷ヲ確保スルト共ニ成ルヘク南方ニ航空基地ヲ獲得スルニ努ム
右ノ場合先遣兵団既ニ集合点ヲ出発セル状況ニ於テハ前款ニ基キ予定ノ如ク作戦ヲ遂行ス 又先遣兵団尚集合点出発前ノ状況ニ於テハ先遣兵団主力ノ上陸ヲ延期シ全般作戦開始後成ルヘク速ニ比律賓方面ヨリ海軍航空部隊ノ一部転用ヲ待チ航空作戦ヲ強化シ其ノ成果ヲ利用シテ強行上陸ス 但本状況ニ於テモ敵情之ヲ許ス限リ前段ニ準シ予定ノ如ク作戦ヲ遂行ス
- 二、
- 作戦準備間英米両国又ハ其ノ一国ヨリ先制攻撃ヲ受ケタル場合ハ所在ノ部隊ヲ以テ 機宜敵ヲ邀撃シ速ニ当該国軍ニ対シ航空進攻作戦ヲ開始スル外概ネ第四款ニ準シ作戦ヲ指導ス 但シ馬来方面ノ上陸作戦ハ前項ニ準シ遂行ス
英米両国又ハ英国ヨリ先制攻撃ヲ受ケタル場合ノ対泰行動ハ前項ニ準ス
第四節 使用兵力
- 第六款
- 作戦使用兵力附表ノ如シ
(省略)
第五節 作戦開始
- 第七款
- 作戦開始ニ関シテハ左記ニ依ル
- 一、
- 作戦開始日(X日)決定ハ大命ニ依ル
- 二、
- 作戦ハX日馬来ニ対スル急襲上陸(状況ニ依リ先制空襲)並比律賓ニ対スル対米先制空襲ヲ以テ開始ス
天候ノ障害等ノ為X日比律賓及英領馬来方面共ニ空襲ヲ実施シ得サル場合ニ於テモ馬来方面ノ急襲上陸ハ海象許ス限リ之ヲ敢行シ比律賓方面先遣隊ノ上陸ハ同方面航空作戦開始日ニ応シ之ヲ繰下ク
- 三、
- 香港ニ対スル攻撃ハ馬来ノ上陸又ハ空襲ヲ 又瓦無島ニ対スル攻撃ハ対米航空第一撃ヲ夫々確認シタル後開始ス
- 四、
- X日ニ先タチ敵ノ真面目ナル先制攻撃ヲ受ケタル場合ノ進攻作戦ハ作戦開始ノ大命発令後ニ於テハ適時之ヲ開始スルモ其発令前ニ於テハ大命ニ依ル
- 第八款
- 比律賓ニ対スル作戦目的及作戦要領左ノ如シ
- 一、
- 比律賓ニ対スル作戦目的ハ比律賓ニ於ケル敵ヲ撃破シ其ノ主要ナル根拠ヲ覆滅スルニ在リ
- 二、
- 開戦劈頭陸海軍航空部隊ハ協同シテ台湾及「パラオ」方面並ニ海上ヨリ比律賓方面敵航空勢力、艦艇等ヲ先制空襲スルト共ニ海軍部隊ヲ以テ「バタン」島ヲ急襲シ速ニ不時着場ヲ整備ス
- 三、
- 先遣諸隊ハ比律賓ニ対スル航空第一撃ノ前日夕以降其ノ集合点ヲ発シ陸海軍協同シテ「アパリ」、「ビガン」(次テ「ラオアグ」)、「レガスピー」及「ダバオ」附近ニ上陸シ先ツ航空基地ヲ占領整備シ次テ為シ得ル限リ速ニ「ホロ」島ヲ占領シテ航空基地ヲ整備ス 同島守備ハ占領後成ルヘク速ニ海軍部隊ヲ以テ之ヲ交代ス
陸海軍航空部隊ハ右ニ伴ヒ航空基地ヲ推進シテ航空作戦ヲ続行ス
- 四、
- 前記航空作戦ノ成果ヲ利用シ第三艦隊ヲ基幹トスル部隊護衛ノ下ニ遅クモ作戦第十五日頃迄ニ第十四軍主力ヲ以テ「リンガエン」湾附近ニ 一部ヲ以テ「ラモン」湾附近ニ上陸ヲ開始シ速ニ「マニラ」ヲ攻略シ引続キ群島内要地ヲ占領ス
- 五、
- 軍主力ノ上陸後適時混成一旅団ヲ呂宋島ニ進メ概ネ作戦目的ヲ達成セハ第四八師団ヲ蘭領印度攻略兵団トシテ「マニラ」附近ニ集結ス
- 第九款
- 英領馬来ニ対スル作戦目的及作戦要領左ノ如シ
- 一、
- 英領馬来ニ対スル作戦目的ハ同方面ノ敵ヲ撃破シテ其ノ要地特ニ新嘉坡ヲ攻略シ東亜ニ於ケル英国ノ根拠ヲ覆滅スルニ在リ
- 二、
- 第二十五軍、第三飛行集団及南遣艦隊ヲ基幹トスル部隊ハ左記要領ニ依リ馬来方面ニ対スル作戦ヲ開始ス
- (一)
- 甲案(英国及泰国側ノ情勢ニ鑑ミ急襲上陸ノ可能性多シト認ムル場合)
先遣兵団ハX日零時頃以降泊地ニ進入シ「バンドン」、「ナコン」、「シンゴラ」、「パタニー」附近ニ急襲上陸シテ速ニ航空基地ヲ占領整備ス
陸海軍航空部隊ハ南部印度支那方面ヨリX日零時以降空襲ヲ開始シ主トシテ英領馬来方面ノ敵航空勢力、艦艇ヲ先制攻撃ス
- (二)
- 乙案(英国側ノ警戒厳重トナリ英軍ノ有力ナル艦艇等「シャム」湾ニ出没シ急襲上陸ノ可能性尠シト認ムル場合)
陸海軍航空部隊ハ協同シテX日零時以降甲案ニ準シ敵航空勢力、艦艇ヲ先制空襲ス
先遣兵団ハ努メテ少数(各上陸点ノ輸送船一乃至二隻)ノ奇襲上陸部隊ヲ以テ印度支那西岸ヨリ発進シX日零時頃以降努メテ隠密ニ泊地ニ進入シ「バンドン」、「ナコン」及要スレハ「シンゴラ」、「バタニー」附近ニ奇襲上陸シテ速ニ航空基地ヲ占領整備スルニ努ム
先遣兵団主力ハX+1日零時以降上陸ヲ開始シテ奇襲部隊ノ戦果ヲ拡張ス
- (三)
- 右ノ作戦ハ甲案ニ拠ルヲ本則トシ乙案ニ拠ル場合ハ先遣兵団集合点出発前大本営ニ於テ決定特令ス
- (四)
- 右先遣兵団ノ上陸後護衛並ニ航空基地整備ノ状況之ヲ許ス限リ成ルヘク速ニ一部ヲ以テ「コタバル」ニ上陸シ航空基地ヲ占領整備ス 但シ状況ニ依リ関係指揮官協議ノ上努メテ少数ノ部隊ヲ以テ先遣兵団主力ノ上陸ト同時ニ急襲上陸スルコトアリ
- 三、
- 第十四軍ノ主力部隊ヲ護衛セル艦艇ノ一部ノ回航ヲ待ツテ第二十五軍主力ヲ逐次南部泰ニ上陸セシメ馬来上陸先遣兵団ノ戦果ヲ拡張シテ速ニ新嘉坡ヲ攻略ス
作戦ノ進展ニ伴ヒ機ヲ見テ一兵団ヲ努メテ南方ニ於テ馬来東海岸ニ上陸セシム
- 第十款
- 英領「ボルネオ」ニ対スル作戦目的及作戦要領左ノ如シ
- 一、
- 英領「ボルネオ」ニ対スル作戦目的ハ資源要域並ニ航空基地ヲ占領確保スルニ在リ
- 二、
- 開戦初頭南方軍直轄ノ一部ヲ以テ「ミリ」ヲ急襲占領シ資源要域並ニ航空基地ヲ確保ス
- 三、
- 「ミリ」ヲ占領セハ引続キ「クチン」ヲ占領シ航空基地ヲ獲得整備シ海軍航空部隊ヲ推進ス
- 第十一款
- 香港ニ対スル作戦目的及作戦要領左ノ如シ
- 一、
- 香港ニ対スル作戦目的ハ敵ヲ撃破シテ香港ヲ攻略スルニ在リ
- 二、
- 第二十三軍ノ一兵団及第二遣支艦隊ヲ基幹トスル部隊ヲ以テ馬来方面ニ対スル先遣兵団ノ上陸又ハ空襲ヲ確認シタル後作戦ヲ開始シ先ツ所在敵艦艇ヲ撃滅スルト共ニ九龍半島ニ於ケル敵陣地ヲ突破シタル後香港島ヲ攻略ス
- 三、
- 香港攻略完了セハ右兵団ヲ蘭領印度攻略兵団トシテ同地附近ニ集結ス
- 第十二款
- 瓦無島及「ビスマルク」諸島ニ対スル作戦目的及作戦要領左ノ如シ
- 一、
- 瓦無島及「ビスマルク」諸島ニ対スル作戦目的ハ先ツ瓦無島ヲ攻略シ次テ「ビスマルク」諸島ノ航空基地ヲ占領シテ南洋群島方面ニ対スル敵ノ脅威ヲ封殺スルニ在リ
- 二、
- 南海支隊及第四艦隊ヲ基幹トスル部隊ハ作戦初頭瓦無島ヲ攻略ス
- 三、
- 次テ南海支隊ハ同島ノ守備ヲ陸戦隊ト交代シ機ヲ見テ陸海軍協同シテ「ラバウル」ヲ占領シ航空基地ヲ獲得ス
爾後南海支隊ハ成ルヘク速ニ同地ノ守備ヲ陸戦隊ト交代シ「パラオ」附近ニ転進ス
- 第十三款
- 蘭領印度ニ対スル作戦目的及作戦要領左ノ如シ
- 一、
- 蘭領印度ニ対スル作戦目的ハ蘭領印度ニ於ケル敵ヲ撃破シテ其ノ根拠ヲ攻略シ併セテ軍事及資源ノ要域ヲ占領確保スルニ在リ
- 二、
- 比律賓作戦間陸海軍協同シ成ルヘク速ニ第十六軍ノ一部ヲ以テ先ツ「タラカン」ヲ 次テ比律賓作戦及馬来作戦ノ状況ニ応シ逐次「バリックパパン」、「バンジェルマシン」ヲ 前記作戦間又ハ終了後機ヲ見テ「アンボン」及「クーパン」ヲ攻略シ所要ノ航空基地ヲ整備スルト共ニ資源要域ヲ確保ス
此ノ間「タラカン」攻略ト概ネ同時ニ海軍ハ単独ニテ「メナド」ヲ 次テ「ケンダリー」、「マカッサル」ヲ占領確保シ又「タラカン」及「アンボン」ハ該方面作戦一段落毎ニ成ルヘク速ニ海軍之ヲ交代守備ス
- 三、
- 別ニ第十六軍ノ一部ヲ以テ英領馬来ニ対スル作戦ノ進展ニ伴ヒ機ヲ見テ「バンカ」島ノ要地及「パレンバン」ヲ占領シ航空基地ヲ整備スルト共ニ資源要域ヲ確保ス
- 四、
- 第二、第三項ノ所要航空基地ノ整備ニ伴ヒ爪哇方面敵航空勢力ヲ制圧シタル後第十六軍主力ヲ以テ「バタビヤ」附近西部爪哇ニ 又転用ノ一兵団ヲ以テ「スラバヤ」附近東部爪哇ニ上陸シテ速ニ「バタビア」、「バンドン」、「スラバヤ」ヲ占領シ引続キ爪哇ノ要域ヲ戡定ス
- 五、
- 新嘉坡占領後「マラッカ」海峡ヲ制圧シ得ルニ至ラハ第二十五軍ノ一部ヲ以テ適時馬来半島西岸方面ヨリ「メダン」附近ニ上陸シ「アチェー」地方ノ要域ヲ 次テ機ヲ見テ「サバン」島ヲ占領ス
- 第十四款
- 泰国及緬甸ニ対スル作戦目的及作戦要領左ノ如シ
- 一、
- 泰国及緬甸ニ対スル初期ノ作戦目的ハ泰国ノ安定ヲ確保スルト共ニ馬来方面ノ作戦ヲ容易ナラシメ併セテ緬甸ニ対スル爾後ノ作戦ヲ準備スルニ在リ
- 二、
- 開戦初頭第十五軍ノ一部(其ノ主力ハ第二十五軍ヨリ配属ス)ヲ以テ南部印度支那ヨリ陸路及海路中部及南部泰ニ進入シ同方面ノ要地ヲ確保スルト共ニ一部ヲ以テ「ビクトリヤポイント」附近ヲ占領ス
- 三、
- 第十五軍主力ノ内一兵団ハ開戦直後印度支那ヲ出発シ主トシテ陸路ヨリ又別ノ一兵団ハ開戦後北支那港湾ヲ出発シ概ネ作戦第四十日頃以降夫々逐次「バンコック」附近ニ進入シ泰国内ノ要地ヲ占領ス
第十五軍主力ノ到着ニ従ヒ前記第二十五軍ノ一部ハ成ルヘク速ニ陸路及海路其ノ主力方面ニ転進セシム
- 四、
- 第十五軍ハ一部ヲ以テ機ヲ見テ「ムールメン」等ノ航空基地ヲ占領ス
- 第十五款
- 別ニ南方軍直轄ノ一兵団ハ第十五軍ノ後続兵団ニ相次テ北支那港湾出発印度支那ニ到リ同方面ノ安定確保ニ任シ特ニ支那軍ノ進入ニ対シ警戒ス
第二章 南方作戦発動ニ伴フ対支作戦
第一節 作戦方針
- 第十六款
- 南方作戦発動ニ伴フ対支作戦方針左ノ如シ
支那ニ対シテハ帝国海軍ト協同シ概ネ現在ノ態勢ヲ保持スルト共ニ支那ニ於ケル米英等敵側諸勢力ヲ掃滅シテ政謀略ト相俟チ対敵圧迫ニ努メ蒋政権ノ屈服ヲ期スルニ在リ
第二節 作戦指導要領
- 第十七款
- 前款ニ基キ左ノ如ク作戦ヲ指導ス
- 一、
- 概ネ現占領地域タル西蘇尼特王府、百霊廟、安北、黄河、黄河氾水地域、蕪湖、杭州ノ線以東ノ地域及寧波附近ノ確保安定ヲ期シ特ニ先ツ蒙彊地方、北部山西省、河北省及山東省ノ各要域並ニ上海、南京、杭州間ノ地域ノ迅速ナル治安ノ恢復ヲ図ル
- 二、
- 漢口ヨリ下流ノ揚子江ノ交通ヲ確保シ武漢三鎮及九江ヲ根拠トシテ敵ノ抗戦力ヲ破摧スルニ努ム
其ノ作戦地域ハ概ネ九江、信陽、安陸ヨリ下流ノ漢水、岳州、南昌ノ間トス
- 三、
- 広東附近、汕頭附近及北部海南島ノ各要地ヲ占拠ス 広東附近ノ作戦地域ハ概ネ恵州、従化、清遠、北江及三水ヨリ下流西江ノ間トス
- 四、
- 速ニ対支交通権ヲ行使シ米英敵側諸国ノ在支勢力ヲ掃滅シ特ニ其ノ租界及権益ヲ接収ス
- 五、
- 特ニ対敵封鎖ヲ強化ス
- 六、
- 重要国防資源地域ヲ確保シ我戦力ノ培養ニ努ム
- 七、
- 南方作戦発動後露国ト開戦ノ顧慮アルニ至ラハ適時所要ノ兵力ヲ陸路又海路満州方面ニ転用ス
兵力ノ転用ニ従ヒ北支那及武漢地区ノ各一部ノ占拠地域ヲ整理シテ所要ノ地域ヲ確保シ敵勢力ノ擡頭ヲ防止ス
第三章 南方作戦間露国ノ参戦セル場合ノ作戦
- 第十八款
- 露国ニ対シテハ概ネ現態勢ヲ以テ警戒ヲ厳ニシ且作戦準備ヲ強化シテ極力戦争ノ発生ヲ防止スルト共ニ米露ノ極東ニ於ケル軍事的提携ヲ阻止スルニ努ム
又情勢ノ変化ヲ察シテ適時所要ノ措置ヲ講シ警戒ノ万全ヲ期ス
- 第十九款
- 北方ニ於テ米露カ提携シ或ハ露軍単独ニテ我ニ挑戦シ来ル場合ニ於テハ機ヲ失セス支那及内地方面ヨリ所要ノ兵団ヲ転用シ速ニ極東露領ノ敵航空勢力ヲ撃破スルト共ニ爾後ノ攻撃ヲ準備シ次テ成ルヘク速ニ鳥蘇里方面ノ敵ヲ撃破シテ同地方ノ要域ヲ占領ス
- 第二十款
- 前款所掲ノ作戦遂行後ニ於ケル作戦ハ当時ノ状況ニ依ルモ状況之ヲ許スニ至レハ黒龍方面ノ敵ヲ撃破シテ極東露領ノ要地ヲ占領確保ス
又適時北樺太及勘察加方面ノ要地を占領ス