君は「アニメンタリー決断」を知っているか

アニメンタリー決断とは - 1

アニメンタリー決断とは

「アニメンタリー決断」は1971年4月3日から同年9月25日まで、毎週土曜日19時30分から20時(一部地域を除く)に日本テレビ系列で放映された竜の子プロダクション(現・タツノコプロ)制作の戦記アニメ。
作・監修に戦記作家の児島襄、総監督に九里一平を起用した異色作である。
「アニメンタリー」とは「アニメ」と「ドキュメンタリー」を合わせた造語。
1941年12月8日の真珠湾奇襲攻撃から1945年8月15日の終戦まで、太平洋戦争の主な出来事を全26話に渡って物語にした。(タツノコプロの公式サイトでは全25話と紹介され、第26話は欠番扱いになっている。これに関しては第26話についてを参照)最終回の第26話は戦争に関係のない話なので、実質的には全25話ということになる。これについては後述する)

「アニメンタリー決断」は毎回、登場人物が決断を下すべく思い悩むシーンと、その後の結果の出るシーンで解説が入り、主題を明確にしていた。
実在の人物と兵器が登場し、概ね史実通りに描くために正確な描写が心がけられていた。
芝居では敬礼の仕方や肩章の違いに気を遣って制作、音楽は実在する軍歌・戦時歌謡をアレンジしたものを使用、効果音は東宝の戦争映画でも使用された本物の爆発音やエンジン音などを使用した。
兵器関係の描写では、鉛筆の汚しの処理をそのままセルにマシントレースを行い、その重厚さを表現した。
爆発シーンでもリアルな映像を追及した結果、エアブラシで炎や火の粉を表現するなど、タツノコプロの技術はこの作品で飛躍的に進歩した。ここで得た技術は翌年の「科学忍者隊ガッチャマン」で存分に発揮され、後のアニメに多大な影響を与えた。

「決断」に関わったスタッフはその後、数々の名作を世に出し、今日の日本アニメ界の礎となった。

各話リスト

各話の放送順は以下のとおりであるが、時系列に沿った放送順ではない。

放送順時系列順
放送日
(1971年)
話数サブタイトル時期話数サブタイトル
4月3日第1話真珠湾奇襲1941年12月第1話真珠湾奇襲
4月10日第2話ミッドウェイ海戦(前編)第4話マレー突進作戦
4月17日第3話ミッドウェイ海戦(後編)第6話香港攻略
4月24日第4話マレー突進作戦第7話マレー沖海戦
5月1日第5話シンガポール攻略第11話バターン・コレヒドール攻略
5月8日第6話香港攻略第14話加藤隼戦闘隊
5月15日第7話マレー沖海戦1942年1月第10話海軍落下傘部隊
5月22日第8話珊瑚海海戦1942年2月第5話シンガポール攻略
5月29日第9話ジャワ攻略第9話ジャワ攻略
6月5日第10話海軍落下傘部隊1942年5月第8話珊瑚海海戦
6月12日第11話バターン・コレヒドール攻略1942年6月第2話ミッドウェイ海戦(前編)
6月19日第12話潜水艦 伊-168第3話ミッドウェイ海戦(後編)
6月26日第13話第一次ソロモン海戦第12話潜水艦 伊-168
7月3日第14話加藤隼戦闘隊1942年8月第13話第一次ソロモン海戦
7月10日第15話ラバウル航空隊1942年11月第19話ルンガ沖夜戦
7月17日第16話キスカ島撤退1943年4月第18話山本五十六の死
7月24日第17話特攻隊誕生1943年7月第16話キスカ島撤退
7月31日第18話山本五十六の死1943年11月第15話ラバウル航空隊
8月7日第19話ルンガ沖夜戦1944年6月第20話マリアナ沖海戦
8月14日第20話マリアナ沖海戦1944年10月第17話特攻隊誕生
8月21日第21話レイテ沖海戦(前編)第21話レイテ沖海戦(前編)
8月28日第22話レイテ沖海戦(後編)第22話レイテ沖海戦(後編)
9月4日第23話硫黄島作戦1945年2月第23話硫黄島作戦
9月11日第24話連合艦隊の最期1945年4月第24話連合艦隊の最期
9月18日第25話最後の決断1945年8月第25話最後の決断
9月25日第26話川上監督の決断1971年第26話川上監督の決断

各話の舞台となった場所。
地図

オープニングとエンディングのテーマ

オープニングテーマ「決断」
作詞:丘灯至夫/作曲:古関裕而/編曲:甲斐靖文
唄:幹和之・コロムビア男声合唱団

エンディングテーマ「男ぶし」
作詞:丘灯至夫/作曲:古関裕而/編曲:高原哲
唄:コロムビア男声合唱団

OP・ED共に軍歌調な歌詞と曲。
作詞者の丘灯至夫氏は「ハクション大魔王」、「紅三四郎」、「昆虫物語みなしごハッチ」、「高校三年生」、「長崎の雨」、「東京のバスガール」などの作詞で知られている。
作曲者の古関裕而氏は「暁に祈る」、「露営の歌」、「若鷲の歌」、「英国東洋艦隊潰滅」、「ラバウル海軍航空隊」、「東京オリンピックマーチ」、「鐘の鳴る丘」、「長崎の雨」などの作曲で知られている。

OPとEDを収録したCDは、アニメ主題歌集などの他作品の楽曲が複数収録されたCDのみで、決断だけを収録したCDは存在しない。

各放送局の放送時間

放送時間放送局名
土曜日 19:30~20:00日本テレビ、名古屋テレビ、秋田放送、札幌テレビ、青森放送、福井放送、山形放送、北日本放送、山口放送、山梨放送、日本海テレビ、南海放送、西日本放送、四国放送、テレビ岩手、高知放送、福岡放送、テレビ大分、宮城テレビ、読売テレビ
日曜日 19:00~19:30静岡放送
日曜日 22:30~23:00南日本放送
木曜日 21:26~21:56広島ホームテレビ
金曜日 19:00~19:30北陸放送
金曜日 21:00~21:30福島テレビ
土曜日 17:20~17:50信越放送
土曜日 19:00~19:30新潟総合テレビ

第26話について

第26話は戦争とは関係のないプロ野球の話を扱っている。サブタイトルは「川上監督の決断」という。川上監督とは、本放送当時プロ野球セ・リーグの読売ジャイアンツの監督だった川上哲治のこと。
内容は川上監督をスタジオに招き、監督として下さなければならない決断とはどういうものか、現役を引退する時はどうだったかなど、実況アナウンサーの志生野温夫が試合の実写映像を交えて川上監督にインタビューしたもの。
また、長嶋茂雄選手にはデビュー当時のこと、天覧試合でのホームランなどについて、王貞治選手には一本足打法などについて、両者からフィルム・インタビューしたものを放送したという。

第26話は映像ソフト化も再放送もされず、そのため幻の最終回となっている。ソフト化も再放送もされないのは版権の都合らしい。

第26話だけがこのような内容になったのは製作時間の問題らしく、番組に対する抗議や昭和天皇の描写に問題があったわけではないらしい。

※番組に対する抗議
第1話放送直後から抗議は多く、その内容は「戦争を賛美または美化するような作品」、「軍国主義の復活」、「右寄り」などと各方面(主に教育団体など)から非難されていた。特に某教育団体では「決断」を「見てはいけない番組」として教育現場に通達をしていたらしい。


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